遠州地方の初盆の家々。
大念仏を迎え、先祖の霊を拝する。
身内のこの家族も、仕事を休み、会社を休み、作業所を閉め、
何十人もの念仏踊りの集団を迎える準備をする。
外に出た子供たちが帰ってきて、それを手伝う。
親しい友人や隣保の人たちも仕事を分担する。
久々に出会う親戚同士は、車座になって世間話で賑やか。
キッチンからは娘たちの笑う声が聞える。
時おり強い雨音がして、人々の会話に水をさす。
夜遅くなれば、盆義理の訪問は疎らだ。
遠くから太鼓や音頭が聞えている、、、、と思っていたら、
そのうちに頭先(かしらさき)という役の長老が現れ、
提灯を軒先に置いて家の中に、、、。
念仏の隊列は盆飾りのある部屋の正面の庭先で一塊りになり、
やがて各々の持ち場につく。
勇壮な男たちの荘厳な演舞がはじまる。
休憩をはさみ大念仏はクライマックスへ。
人々は語りをやめて、しばし霊との融合に身をまかせる。
おかめとひょっとこが場を和ませながら、踊りの隊列を締めくくる。
やがて訪問客も去り、
緊張から放たれた家族だけがのこる。
ちょっと寂しくも、和やかな団欒が夜更けまでつづく。
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