昨夜は原善伸のクラシックギターを聴いた。
弾き込んだ安定感と音色の渋さは、そのまま個性的で素晴らしい。
つかの間の二時間だった。
ギターの演奏会では、
演奏者本人が曲目を紹介しながらプログラムを進めるのが一般的。
彼の言葉やしぐさには成熟した大人の「人格」が漂っている。
演奏家という気位は全く感じない。
私のすぐ横で、私のために弾いてくれる。
それは演奏が終わった瞬間、すべての曲ごとに感じる。
第一部
サラバンド・ニ短調HWV437~/G.Fヘンデル
モルソー・ド・コンセール/F.ソル
アラビア風奇想曲/F.タレガ
いずれも古典の大曲だが、6弦をDに合わせ演奏する曲であることも合理的な工夫。
ステージ上で調弦する時間は演奏家によっても、演奏会場のコンディションによっても異なるが、
昨夜の演奏会では、ほとんど調弦の時間が無かったように思う。
第二部
この3月海外で演奏するために取り入れたという「さくらの主題と変奏曲/横尾幸弘」から。
二曲目の「バーデン・ジャズ組曲/J.イルマル」は初めて聴いた。誰もが弾きたくなるような
軽快でメロディックな曲だった。
最終は「グランホタ/J.アルカス~F. タレガ」
特に3曲目のグランホタは、演奏家によって大きな違いが出る。
4弦に極端なベンディングを取り入れ、しかも即座に弦の緩みを直す、これが非常に印象的。
ここで初めて知るのだが、この曲はタレガの作品ではなく、彼の師匠であるアルカスとのこと。
彼はアンコールの拍手に直ぐに応え、再びステージに上がる。
そして二曲目も、、、、、彼は観客を待たせない、もったいぶらない。
独奏がアンサンブルやオーケストラとは違うと云う事を、彼は演奏と仕草で表現している。
6枚目のCD「サラバンド」はぜひ聴きたい。
手元に佐藤達男が弾くギターカルテットのCDがあるが、
そのメンバーの一人に原善伸の名前もあったのがなぜか嬉しい。
ちなみに彼の弾くギターは「サントス・エルナンデス 1936年」とのこと。
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