谷辺昌央はドイツで研鑽を積み、ヨーロッパ中心に演奏活動を行い、昨年からは日本を起点に演奏活動を始めた名古屋出身のギタリスト。彼の演奏会の記録や世界的な様々な音楽コンクールでの入賞経歴をみれば、演奏のレベルは想像がつく。しかし昨夜の演奏会は想像以上のものだった。
体格が良く、手も大きい。
その大きい左手は指板に吸いつくように動く。
現代曲には幅広いポジション移動がつきものだが、不思議と摩擦音が聞こえない。
右手の長い指はただ弾くだけでなく、絶えずブリッジとサウンドホールの間を目まぐるしく移動し、音色の変化を繰り広げる。
左ひざに枕を乗せ、ネックを一段高く(フラメンコ風に)構える。(こんな枕、自分も使ってみたい)
演奏の内容
一曲目の「J.K メルツのエレジー」以外はすべて中南米を中心とした現代音楽だ。
二曲目、Hアラーヤのセリエ・アメリカーナ。
そして三曲目、Gモンターニャのコロンビア組曲より二曲。
この曲は初めて聞くが、終止形に(6度の音か何か)浮遊感があり印象的。
会場にはギター愛好家も多かったから、私のように「一度は挑戦したい」と感じた人もいただろう。
一部の最後に演奏されたヒナステラの「ギター・ソナタ Op.47」
ギターは「音が小さいのではなく遠くで鳴っているのだ」という言葉があるが、
「ギターはサーカスだ。近くで見なければ意味が無い!」と言い換えよう。
二部では「ピアソラ/5つの小品」から3曲。
ピアソラがギターのために書いた4曲の中の一つとして紹介された。
最後はユパンキの「牛車に揺られて」など6曲。
もう何十年も昔のことだが、ユパンキが弾くソルの「月光」を聴いて
あらためて音楽に目覚めた時分を思い出す。
拍手は鳴りやまずアンコール南米の曲、タイトルを聞き取れなかったが
「もしも彼女が、、、、、」。
二曲目「イエスタディー」のあとの拍手はなおも激しく続いた。
三曲目「アルハンブラの想い出」(フツーはアンコールでこんな曲聴けない)
により何とか拍手は納まったが、
この演奏には奏者の安堵と若干の疲れ(笑)が感じられた。
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伊藤健蔵 (月曜日, 09 4月 2012 08:39)
私が膝の上に載せてつかっていたクッションは
ダイナレットというスウェーデン製のもので、日本でも市販されています。(ご本人より説明をいただきました)
ありがとうございました。